■スナップボタンからのシミ 長い間保管してあった小紋。 衿のスナップボタンのまわりが、変色しています。 よく見ると、うっすら緑に変色も。 また着物を本畳みすると、衿は内側に三角に折り込むので 背中心あたりにもシミがうつっています。 表地にまで移っているケースもあります。 このシミは、スナップボタンの金属から出た錆です。 スナップボタンは、多くが真鍮製です。 真鍮は銅と亜鉛の合金ですが、 そのうちの銅の成分が錆びてシミになっています。 (緑青 ろくしょう) 緑青がでた部分の生地はとても脆くなっています。 ちょっとのしみ抜きで生地に穴が開くことも。 しみ抜きは、弱い薬品から慎重に試しながら 生地を優先してできる限りの作業で止めます。 ■錆を防ぐには スナップボタンを直接付けずくるみスナップにする、 引き糸にするなどの方法があります。 弊店では、基本的にくるみスナップでのお仕立てになります。 (ご希望で引き糸も可能) また現在では、防錆加工済みのスナップも売っています。
ご自分で付ける場合は探してみてください。 弊店でスナップボタンのみの付け替えも可能です。 長期間しまっているお着物、点検するときは スナップボタンも見てみてくださいね。
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タンスのクリーニング&着物診断 その①はこちら その②は、着物診断についてです↓ ■流行のライフスタイルから ~断捨離・ミニマリズム・終活~ 昨今のライフスタイルは、 自分で管理できる所有物は 最後まで責任持ちましょう、 管理できないものは早く手放して ストレスをなくしましょう、という考えが 主流になっていると思います。 (断捨離やミニマリズムは、自分の手が 届く範囲内の持ち物で生活する考えですね) また、高齢化社会に向けて 自分の人生や財産を自分で幕引きしたい考えの方が 増えています。 終活ブームにその考えが見てとれますね。 そういった風潮の中で、これから 着物がどういう扱いになるかを想像すると… 大事な着物は着てくれる人に譲ったり、 いらない着物は売ったり処分したりする ケースがもっと増えると予想しています。 ただ、あげる方は荷物が減って心身ともに スッキリするかもしれないですが… もらう方は、やっぱりキレイなものを いただきたいですよね笑 いくら貴重な着物をいただいても、 シミが全体にあったりカビが生えていては またタンスの肥やしになってしまいます。 弊店に相談に来られるお客さまのなかにも、 もらったはいいが着られない… かと言ってお金をかけてお手入れする程の 愛着はない、と話される方が多いです。 そこで、着物の持ち主が 着物をあげる前に状態を知れる機会を 作れないか、と考えました。 着物が今、人様にあげても迷惑でない程度にきれいか、 それともシミやカビがあるため 譲ったら逆に迷惑になるのでは、と 判断できるように。 また着物の現状を知れば、手入れするのか 手放すのかを決める判断材料になるのでは。 私にできることは、診断と再利用方法を提案することくらいなので限られてはいますが、 着物がお荷物にならないように、お客さまの心の負担を軽くできればと考え、このサービスを思いつきました。 タンスのクリーニング&着物診断 詳細・お問い合わせはこちら
出張【タンスのクリーニング&着物診断】を 始めました! → 詳細はこちら このサービスを始めようと思ったのには、 色々なきっかけがあります。 その①は、タンスのクリーニングについて↓ ■能楽堂にて ~能装束の虫干しで感じたこと~ 夏になると、能楽堂などで装束の虫干し展示が よく行われています。 能楽師の方が所有している装束を、虫干し兼ねて お客さんに見てもらおうという催しです。 そこで疑問に思ったのが、 一般家庭の着物よりもはるかに古いものが カビもなくきれいな状態で保管されていたこと。 話を伺ってみると、毎年夏など公演の少ない時期に 必ず装束を出して風を通してあげるそうです。 定期的に虫干しすることの重要性を、 改めて認識しました。 ■お客様との会話にて~桐ダンス絶対神話~ お手入れで着物をお預かりする際に、よく聞くのが 「桐ダンスに入れていたのにカビてしまった」。 桐には調湿効果があるので、桐ダンスに着物を しまっておけば大丈夫!という絶対神話があるようです。 確かに、桐という木材には湿度を調整してくれる性質が あります。 しかし、限度というものがあります。 タンスを開けて換気をしてあげないと、 桐にもカビは生えます。 虫干しは、着物のためだけでなく タンスのためにも有効な方法だと思います。 しかし、この「桐ダンス絶対神話」があるために 虫干しをされない方が多いのかもしれない、 着物のお手入れだけではなく タンスのお手入れも必要なのではないだろうか… と、カビが出てしまった着物をお預かりする度に もやもやと考えていました。 ■博物館にて ~文化財の保存~ 博物館の展示室には、必ずといっていいほど 温湿度記録計が設置されています。 展示品の種類にもよりますが、だいたい 湿度は50~55%あたり。 貴重な文化財を保つために、一定の温湿度を キープできるような空調管理がされています。 私が自宅での着物の管理で取り入れたいと思ったのは、 「温湿度が一目でわかるようにする」こと。 何となく湿気っぽい、かびっぽい、など この「何となく」を自分で確認したく、 デジタルの温湿度計をタンスに入れるようにしました。 上の3つの例のように、大事なものを良い状態で保存するためには まわりの環境を整えることが不可欠です。 着物の場合、保管場所であるタンスの中をクリーニングし、 虫干しで換気をして湿気を飛ばすことが重要です。 タンスのクリーニングを通して、 少しでも皆さんの着物をいい状態で保てるようなお手伝いができるのではないかと思い、 このサービスを考え付きました。 その②は、着物診断についてです→②へ続く
こんにちは、そろり庵のこばやしです。 今回は、肉眼で見えないシミやカビを発見するのに 使っている道具をご紹介します。 ■ブラックライト 日本酒や白ワインをこぼしてしまった...! でも、これらのシミは乾いてしまうと シミの痕跡がわからなくなってしまいます。 そのまま放っておくと、シミがだんだん変質して 生地を変色させたり劣化させてしまいます。 肉眼ではわからないシミを確認したい時、 弊店ではブラックライトを使用します。 お客様の着物の状態を、より詳しく、正確に 判断するのに役立つアイテムです! ■例① 汗ジミの発見 日本酒や白ワイン等と同様に、 汗ジミも乾いてしまうとわかりにくいシミです。 こちらは夏の着物。 白っぽい生地なので、肉眼ではシミがわかりません。 下前の脇の部分に、汗ジミがくっきりと うつっていました。 ■例② カビの発見 古い帯。少し臭いもします。 肉眼では目立つシミはありませんでしたが... ブラックライトを当てると、 全体にカビのシミが点在していました。 ■自分の着物の状態が知りたい方に シミやカビがあるかどうか、知りたい。
または、 シミを付けてしまったけれども場所がわからない... そんなご相談も、大丈夫です! 一緒に確認できますので、まずはご相談ください。 こんにちは、そろり庵のこばやしです。 もう少しでジメジメした梅雨ともおさらば。 本格的な夏がやってきますね! 夏の着物は、見るのも、着るのも好きです。 (着るのは、専ら洗えるセオαが多いですが...) さて先日、和のお稽古サロン 和gaku庵にて 私にもできる「着物のお手入れ」講座を開催しました。 参加された皆さまは、お茶や和楽器、能など 和を嗜んでいる方が多かったです。 それだけ着物を着る機会も多いということで、 着物のお手入れは、洋服と何がちがうの? 自分でできること、逆にやってはいけないこと、 また着た後の処理や保管のお話など。。。 皆さんからのご質問が絶えず、とても活気のある 講座となりました! また、講座の最後には ベンジンを使ったお手入れを実演しました。 抹茶の細かい粒子が繊維に入り込んで 汚れてしまった袱紗や、 着物の衿に付いた皮脂の汚れ落とし。 ベンジンを使うには、注意点が大事ですので、
またの機会に、実技の講座が できればいいなと思います。 ご参加の皆さま、ありがとうございました! |
店主・こばやしそろりそろりと、着物を直しています。日々のあれやこれやを、綴ります。 月別
3月 2024
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